9kyuu からの星のお便り Vol. 2

自由・平等・友愛のアクエリアス時代へ

 

Solidality  友愛   『ダンスII』

アンリ・エミール・ブノワ・マティス

La Danse : second version Henri Émile Benoît Matisse

 

 

目次




1) アート作品の中に星空を探す ​Vol.2「ダンス : セカンドバージョン」



2) 2020年 夏の星空の動き 〜繰り返される蟹座のサイン〜



3) 蟹座の〈友愛〉双子座の〈友愛〉

 

 

 




1) アート作品の中に星空を探す ​Vol.2「ダンス : セカンドバージョン」

 

前回のコラムでは、これからのアクエリアス時代のテーマとなる 〈自由・平等・友愛〉 のうち の〈自由〉のイメージができるドラクロワの作品『民衆を率いる自由』を取り上げました。

そこで2回目の今回は、〈友愛〉というテーマが感じられるアンリ・マティスの代表作『ダンス II』の絵を取り上げてみます。

 

ロシアの美術コレクターとして有名だったセルゲイ・シチューキンから、自宅の階段に飾るた めに...と依頼されたダンスの絵は、1909年に描かれた『ダンス I 』と、翌年の1910年 に描かれ納品されたこの『ダンス II 』とがあります。

 

マティスは パブロ・ピカソや、便器を『泉』と題し作品としたマルセル・デュシャンとともに、20世紀美術の巨匠と呼ばれています。マティスたちが活躍した20世紀は、10人いれば10の主義があると言われるほど、一人一人が個性的な絵を描くようになります。ピカソが 描く対象物から〈形〉を解放させたとするならば、マティスは描く対象物から〈色〉を解放させたと言ってもいいでしょう。絵の説明をする道具として色を使ったのではなく、​”色そのもの が喜びをもたらせてくれる存在なのだ と、色で遊び色を楽しみました。デュシャンの場合は少し解りにくいかと思いますが、〈思考〉を目覚めさせたとしておきましょう。

 

それぞれの画家たちが個々に感じ捉えたものを絵にするようになった近代美術の発展の背景には、写真の技術の発展があります。歴史を記録するなど、見えるものを正確に写すといった役割は写真が担うようになり、画家たちはそのための技術から解放されたのと同時に、写真が担えないものを探すという課題を持つことになりました。

 

 


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そのような時代背景の中で、人類が最初に描いた古代壁画という原型に戻ろうとしたかのようなこの絵の中に、どのような星が瞬いているのか眺めてみましょう。


 

まず、生まれたばかりの子どものようなピュアな精神を感じる裸の人間に、存在のはじまりを表す牡羊座を見つけることができます。生きる命の喜びに満ちた身体の動きには​牡牛座 ​②金星が、軽やかにステップを踏んでいる足元には​双子座 ​③が輝きを放っています。

またその足元に注目してみると、このダンスはかなり早く回っているようです。そこにはおよそ90日という短さで太陽の周りを一周する素早い動きの水星④ が、クルクルと回転しています。

 

集まった仲間たちと手を繋ぎ、気持ちを共有すべく輪となった状態に​蟹座を、上部に描かれ た二人の曲がった腕が創るハートの型獅子座​ ⑥を、線を引くことで対象物の境界を示す日本の浮世絵や漫画のような描き方に、乙女座  を見つけることができます。

 

牡牛座と同様に、天秤座愛の星とも呼ばれる金星に支配されています金星のワクワクと上昇するような気分は、牡牛座においては一個人の感覚が育つ時... 自己を愛する際に生まれ、天秤座においては相手との関係の中で育つ時... 他者を愛する際に生まれます。

 

ダンスに参加し、人との交流を楽しんでいる姿のなかに、キラキラ光った天秤座 ​⑧が見つかり ます。

 

人類の祖先が洞窟に描いた壁画を再現したような作風蠍座⑨ 冥王星を、宇宙まで届くようなロイヤルブルーの空の色射手座 ⑩ を、丘の頂のようなダンスの舞台に、高い場所を目指す山羊座 ⑪ を見つけることができます。

 

奥の人物の足の色と同化しているので気がつきにくいのですが、左の人物と手前中央の人物の手は離れています。天王星離れさせる力を持っている天体です。天王星の支配下にいる水瓶座の自由は、くっつきすぎると不自由であることの対極にある自由を示しています。

 

さて今回は全ての星座を見つける試みをしていますが、12番目...最後の星座の魚座はどこで 瞬いているでしょう? 実は... 天地をかき混ぜ境界を失くし、カオスの状態をつくっているこの 『ダンス』そのものが、魚座 ⑬ なのです!

 

 

 

 

明るい昼間の空にも月を見つけることができるように、3色で描かれたシンプルな絵の中にも、たくさんの星が降り注いでいるのをつけることができます。

 

 

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さて、この絵が描かれたのはどんな年だったのでしょうか? 当時の星空の様子を眺めてみましょう。

 

 

 

太陽が牡羊座に入った瞬間を春分と言いますが、そのタイミングのホロスコープを〈春分図〉 と言います。春分図には、その一年間の象徴が表されています。シチューキンがマティスに絵 を依頼したのは1909年3月ということですので、1909年の春分図と、『ダンスII』を 完成させた1910年の春分図を見てみることにしましょう。

 

ホロスコープには〈アセンダント〉というスタート地点があります。生まれた瞬間の東の地平線にあるその黄道のポイントは、朝陽が昇った時のように、〈存在〉が姿を現したというタイ ミングです。アセンダントから始まる〈1ハウス〉は、存在はしていても経験はしていない発達段階です。アセンダントや1ハウスでの動きは、他者からは見えていても本人には自覚できていません。

 

また、ホロスコープには〈MC〉というローカルな社会の頂点を指すポイントもあります。アセンダントには、無自覚な状態ではあるものの​〈動機〉が示されていますが、MCやMCに続く〈10ハウス〉には ​〈結果〉が示されています。

 

1909年の春分図のアセンダントは、目的や結果を考えずにひとまず動いてみるといった牡羊座の方向にあり、そこには土星がピッタリと重なっています。土星は思い描いた将来の姿を社会の中で達成させるために必要な常識的な感覚をつくる天体ですが、アセンダントというスタート地点では 将来像がまだありませんので、どのような常識が必要なのかもわかりません。『ダンス I 』が描かれた1909年は、どこから来たかもわからないピュアな動機によって、 常識破りなジャンルを開拓しはじめる精神が生まれてきた年であったと思われます。

 

『ダンスII』が描かれた1910年の春分図では、土星が牡羊座に入ったまま10ハウスへと 移動しています。美術の0地点に戻りすぎたような絵は、画家の友人たちはじめ依頼人のシチューキンにまでも首を傾げられてしまうほど。。。その年が終わる頃... 土星が牡牛座に入り始めた頃には、「マティスの絵は、毎日見ても新しい発見があり、飽きることがない。毎日目にすることができる場所に飾らないと、その良さはわからない」といった評価を得はじめます。

 

土星は約29年をかけ、12星座を一回りします。1909年の時点で牡羊座にあった土星は、1937年には最後の星座の魚座まで進みました。そんな1937年は、パリで重要な万国博覧会が開催された年です。マティスはピカソたちとともに『巨匠展』の委員となり、画家の中で最多数の作品を展示しています。時代や国籍ごとではなく、作家ごとに並べた『巨匠展』の展示形式からは、『ダンス』が生まれた頃に起こった、個性やコスモポリタン的な感覚の尊重が、29年という月日をかけ美術界の常識として備わったことが感じられるでしょう。

 

 

Dance:first version 1909 ダンスI

こちらが1909年に描かれた習作です。納品された Second version よりも明るい色調でどこかしらほのぼのします。

 

 

 

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2)2020年 夏の星空の動き 〜繰り返される蟹座のサイン〜


 

 

春分から約3ヶ月後、太陽が蟹座に入った瞬間を夏至と言います。そのタイミングのホロスコープを〈夏至図〉​と言い、夏至から秋分までの約3ヶ月の象徴が表されているのですが、2020年の夏至図のアセンダントを見ると、春分図のアセンダントと同じ蟹座の29度に位置しています。7月21日に起こる今年2度目の蟹座の新月も、蟹座29度で起こります。その際のアセンダントは蟹座の1度なのですが、1度目の蟹座新月が起こった度数も蟹座の1度でした。先になりますが、秋分のタイミング...〈秋分図〉のアセンダントも蟹座ですので、2021年の冬至まで、蟹座的な雰囲気の中での衝動がたくさん生まれます。

 

蟹座は、牡羊座、牡牛座、双子座という個人の発達段階を経た後の、他者のいる集団に入り、 情操を育てていく段階です。外に出す怒りを調整したり、喜びを分かち合うことで育つ共に生きる力は、他者がいる中でしか育てることができません。積極的に外に向かう活動宮の蟹座 は、くっつくという水の星座ですので、共感してもらえる相手を探すのですが、アセンダント などが蟹座の場合、そのエネルギーは無自覚なので、出逢いはじめた人にも、ナチュラルに感情を吐露するような雰囲気に包まれるでしょう。

 

 

7月21日の蟹座新月は、29度ということで蟹座の集大成的なタイミングで起こります。〈持つ〉という2ハウスで起こりますので、気持ちを察してもらえる集団の中から、そうではない 世界に出ていく際に使う才能を持つ準備をする​と良いでしょう。

 

もう一つ注目したいのは、自我が降りてくる場所​と言われるドラゴンヘッドが双子座を通過していることです。夏至図では太陽や月とコンジャンクションし、7月21日の蟹座新月では、 アセンダントにくっついています

 

牡羊座では、どこから生まれたのか自覚できない衝動が飛び出します牡牛座では、その衝動を使うことができる器...身体が見つかり、その中での感覚を楽しみます双子座は、その身体 を使って再び外の世界に飛び出します。遊びゴゴロを持ち好奇心旺盛に、風の星座らしく軽やかに動きまわります。双子座は、そうして外で体験したことが何なのかを知りたい欲求により、情報収拾力や知性や知恵、言葉やコミュニケーションが発達する段階です。

 

 

ドラゴンヘッドが双子座にある2022年の年明けまではでは、そういった双子座のテーマ が、注目されたり流行ったりしてゆきます。2020年の春分図や夏至図や秋分図では、ドラゴンヘッドは12ハウスという最後の隠遁生活をするような部屋にあります。12ハウスは目 にみえる世界で形成された価値観から解放されるような自由さの中で、精神を真っ直ぐに立たせることを発達させる部屋です。

牡牛座の天王星、また活動宮の牡羊座にいる火星や山羊座の 天体のエネルギーを合わせると、年末までの期間は特に、精神が育つ際に無意識に湧き出してくる感情を誰かに話すことがブームとなり、そういった体験をするサークルなどが生まれてくでしょう。境界をなくす12ハウスなので、それはネットを介しての空間かもしれません。

 

ドラゴンヘッドは8月4日、双子座に滞在している金星とコンジャンクションします。その前 後の一週間は、美しいものに触れたり人間関係を楽しむ雰囲気が加わります。アート作品を創ったり、ダンスを楽しむのにぴったりの時期かもしれませんね !

 

 

Le bonheur de vivre 1906

中央の背景に6名の人物が輪になって踊っています。いく枚も描かれることとなったダンスの絵は、ここからスタートしています。

 

 

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3)蟹座の〈友愛〉双子座の〈友愛〉


 

今回はマティスのダンスの絵の中にある星空と、この夏の星空の動きを眺めてみました。

 

蟹座のテーマは​複数の人が共存する輪の中で、情操を育てていく​星座です。その輪の大きさは、家族というサイズのものもあれば、地域、国、地球、宇宙など、広大なサイズのものもあります。

 

誰かの持つ悲しみや自分の持つ喜びといった感情をその輪の中に流し込み、輪に関わる全員が共通した感情を持てるよう均一に再配分します。「お気持ちお察しします」「胸中お察しします」「心労お察しします」といった言葉が言えるのは、ここでの体験を経てこそです。

 

マティスが描いたダンスをしている人物は皆、生まれたばかりの太古の人間といった裸の状態 です。そこには時代が変わっても、国籍が変わっても、変わらない命の重さが描かれています。双子座は、風が誘うようにワクワクする世界へと周囲を巻きこんでいく力を持っています。隠れるように描かれた離れた手は、「あなたもダンスの輪に入りませんか? 私たちと一緒に人生の喜びを分かち合いましょう!」と、時間や空間を飛び越して、絵の前にいる私たちにささやいているように観えます。

 

現在世界のあちこちで叫ばれている〈友愛〉と いうものがどういうものなのか?そして、この不安定な社会の中で、自分自身と社会を再接続、再構築する方法がこの絵と現在のホロスコープ(星空)を眺めていると、紐解いていけるような、、そんな気がしてくるのでした。

 





あなたはプレアデスの鎖を結ぶことができるか。オリオンの綱を解くことができるか。 あなたは十二宮をその時にしたがって引き出すことができるか。 北斗とその子星を導くことができるか。 あなたは天の法則を知っているか、そのおきてを地に施すことができるか。


 

『ヨブ記』の第38章 31 33 の一説

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次回の9kyuuの星のお便りは、目に見える思考を絵にした画家、 ルネ・マグリット<René François Ghislain Magritte> の中に星を探します。

 

 

 

美術家 田谷美代子

印刷会社勤務の傍ら、子どもとの自然体験の場や絵本教室に通う。 絵を描くための哲学の必要 性を感じ、渡独にて人智学、その後占星術に出会う。 国内、フランスのギャラリーにて作品の出展や、本の装丁、プロダクトパッケージなどを手がける。 また、現在子どものアートワーク ショップの開講に向け準備しております。

 

 

9kyuu Creative Director / Designer SAYAKA HAMADA 9kyuuのクリエイティヴディレクター / デザイナーであり、数年前よりミツバチの生態やアー ト、占星術、人智学、自然哲学、民俗学などを学んでいます。







〜蟹座の共感力と双子座のワクワク感じるたのしみ〜

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