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心と体を整える野菜たっぷり思い出スープ | 9.kyuupartnerコラム

私にとって、胃の調子が今ひとつでも胃が受け入れやすい食事があります。それはスープです。日本の味噌汁のように、各国日常的に、またはその食材の旬の時期に良く食される手作りスープが存在します。たいていのスープは多くの食材を含むため、栄養価も高く、あれこれ何品も用意せずに済み、主婦の味方メニューでもあります。今回は私が様々な国籍の友人たちに教えてもらったスープや滞在先で覚えた美味しいスープをヴィーガンレシピ中心にご紹介したいと思います。

目次

  1. ベルギー人のお母さん伝授、野菜たっぷり手作りポタージュ
  2. 毎年夏になると飲みたくなるスペイン好きの友人特製ガスパチョ
  3. ドイツのヴィーガンカフェで覚えたレンティーユスープ
  4. 今では私の冬の定番スープ、ロシアのボルシチ
  5. ベルギーのカフェ定番メニュー、オニオングラタンスープ

ベルギー人のお母さん伝授、野菜たっぷり手作りポタージュ

ベルギーに暮らし始めた当初、語学学校であるクラスメイトと出会いました。彼女は異文化にとても関心があり、中でも日本文化に興味を持っていたため、すぐに意気投合し、よくお互いの家で勉強したり、お茶しながらおしゃべりをしたりする仲になりました。ベルギー人である彼女のお母さんがランチや夕食に招待してくれるときに、よく振る舞ってくれたのが野菜のポタージュでした。

パースニップ(白い人参のような見た目の野菜)やチコリ、セルリアック(セロリの根っこ)などベルギーではよく食べられるけれど日本ではあまり馴染みのないお野菜や日本でも手に入る玉ねぎ、人参、じゃがいもなど4~5種類のお野菜をじっくり油で炒めた後、水を加え、アクを取りながらゆっくり煮込みます。次に塩と胡椒で味の調整をし、最後はハンドブレンダーでしっかりポタージュに仕上げます。ビオショップ(オーガニックショップ)で手に入る固形の野菜ブイヨンなどを加えればよりしっかり味が出ますが、塩胡椒だけでも驚くほど野菜による旨味が味わえます。

フランスの食文化の影響を色濃く受けるベルギー料理はとても美味しく、奥深いのですが、日常的にはこういったシンプルなスープにパン、そしてハムやチーズを頂くというのが一般的です。



毎年夏になると飲みたくなるスペイン好きの友人特製ガスパチョ

ベルギーでフランス語を学んでいた当時、もっと会話のスキルをあげたいと思い、プライベートレッスンを受けていました。ベルギー人の先生は母語のオランダ語以外にフランス語、英語、ドイツ語、イタリア語、ギリシャ語、スペイン語の7ヶ国語を操ることができました。イギリスやアメリカのニューヨークにも長く暮らしていた経験もあり、当時まだ20代後半だった私にとって彼女の海外暮らしや旅の話はとても興味深く、カフェでのフランス語会話の時間が楽しみでした。

そんな彼女は数年前に他界してしまったのですが、亡くなる直前まで毎年のようにヴァカンスに訪れていたのがスペインでした。当然、スペイン料理が大好きで、夏に自宅に招いてくれるときは美味しい自家製のガスパチョをご馳走してくれました。

トマト、赤パプリカ、玉ねぎ、きゅうり、ニンニク、そしてバゲット少しを細かく切り、塩、胡椒、エキストラヴァージンオリーブオイルとともにミキサーに入れて撹拌し、味見をして塩やヴィネガーで味を調整し、必要なら水を加えます。出来上がったらよく冷やします。彼女は冷えたスープの上にたっぷりみじん切りにした玉ねぎときゅうりとパプリカをのせてくれていました。乾いたバゲットを入れるのがコツだそうです。毎年夏になるとガスパチョが恋しくなり、彼女のオリジナルガスパチョを作り、口に含んだとき、彼女との思い出が蘇るのです。



ドイツのヴィーガンカフェで覚えたレンティーユスープ

ドイツのドレスデンには夫の仕事の関係でたった1年だけ暮らしました。生活に慣れる前にあっという間にアメリカへと引越しになってしまったのですが、現地の人たちとの良い出会いがいくつもありました。中でも最も仲良くしてもらっていたドイツ人は夫の会社の同僚の奥さんでした。年齢も近く、気も合うことから、彼女の仕事が早く終わる日に一緒に食事に出かけてはおしゃべりを楽しみました。

彼女はヴィーガンでした。きっかけは様々あったようですが、1番のきっかけは子供の頃、学校見学で食肉工場を訪れたことだったようです。私はそれまでヴィーガンの友人が一人もいなかったので初めは一体毎日毎食どんなものを食べて生活しているのだろうと興味津々であれこれ聞いたり、一緒に食事をしたり、お買い物に出かけたりしましたが、想像していた以上にごく普通でした。ヴィーガンレストランやオーガニックショップでは、肉や魚など動物性食品以外は手に入りますし、チーズやハム、ソーセージなどもヴィーガンのものが揃っていました。ミルクに関してもライスミルクやフラックスシードミルク、日本でも今手に入りやすいアーモンドミルクなど代替品がずらり取り揃えられているのです。

その仲良しの友人とよく訪れていた地元のヴィーガンカフェでよく頼んだのがレンティーユ(レンズ豆)のカレー風味スープでした。玉ねぎやジャガイモ、インゲン、人参、ほうれん草などたっぷり野菜とクミンやパプリカパウダーなどのカレー風スパイス、そしてレモンやニンニクが入っていたと記憶しています。動物性のものを一切使っていないとは思えぬほど、コクがあり、なんともやみつきになる味でした。そのスープに出合うまではレンティーユをあまり自分で使うことはなかったのですが、このスープのおかげでサラダやスープによく使うようになりました。豆類も大切なタンパク源ですから、上手に色んなお豆を取り入れられると良いですよね。



今では私の冬の定番スープ、ロシアのボルシチ

ロシア人、ウクライナ人など北の寒いところからやってきた人々は一見とても冷たく、接しにくい印象があります。しかし、一度仲良くなって心を許してくれると、まるで家族のように温かく接してくれる優しい人が多かったことが今でも印象に残っています。よく家庭料理も教えてもらいましたし、ズンバの後にウォッカを飲んで大騒ぎしたことも今となっては良い思い出です。

ヨーロッパの寒い日やニューヨーク州の長くて厳しい冬には、ロシア料理でもっと知られる料理の一つ、ボルシチ(実際にはウクライナやポーランド、チェコなど東欧エリアで広く食されるようです)がぴったりで、ベルギーでロシア人の友人に教えてもらったのをきっかけに冬になるとよく作っていました。

材料はというと、まず欠かせないのがビーツです。最近では日本でも少し手に入りやすくなりました。油でニンニクを香り立つまで炒め、そこに肉(豚肉でも鶏肉でも牛肉でもOK)、サイコロ大に切った玉ねぎ、人参、じゃがいも、ビーツを加え、よく炒めます。そこに水をたっぷり注いでローリエ、塩、胡椒、砂糖を加え、コトコトにて丁寧にアクを取ります。熟したトマトがあれば加えても良いでしょう。出来上がったら、ディルとサワークリームをのせて頂きます。

ビーツは「食べる輸血」と言われるくらい栄養が豊富で、カルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルがたっぷり含まれています。そして最近ではビーツに含まれるNO(一酸化窒素)という成分が、血管をしなやかに若く保ってくれると世界的に注目を集めているそうです。



ベルギーのカフェ定番メニュー、オニオングラタンスープ

そして最後に、私にとっても思い出深いスープといえば、ベルギーのカフェならどこにでもメニューにある、オニオングラタンスープです。玉ねぎを飴色によく炒め、水とコンソメを加え、塩、胡椒で味を整えたものにバゲットとチーズがのったもの。 目で見たこと以上に、味や香りというのはとてもよく記憶に残っているなあと最近よく感じます。先日、久しぶりに玉ねぎをたっぷり使ってスープを作ったときに、ベルギーのカフェで友人とおしゃべりしたこと、一人で読書しながらゆっくり過ごしたこと、先生とフランス語を勉強したこと、たくさんの記憶が蘇ったのです。

日本は四季が美しく、季節ごとに美味しい野菜や果物、キノコなどたくさんの食材が手に入ります。10年間の日本での空白期間を取り戻すかのように、美味しい食材の味、香りを日々を楽しむことが私の最近の喜びです。

著者のプロフィール: 山口 華恵 Hanae Yamaguchi

東京女子大学 文理学部英米文学科卒業後、大手製薬会社、外資系PR会社および日系PR会社で広告・広報業務に携わった後、夫の仕事都合でベルギー・ドイツ・アメリカ(ニューヨーク州)で約10年間生活を送る。現在は夫と4歳の息子と茨城県つくば市に暮らし、フリーランス翻訳者およびPRコンサルタントとして活動。現在、ヨガジャーナルオンラインおよびmadameFIGARO.jp(フィガロジャポン)の翻訳を毎月レギュラーで担当している。本サイトでは、海外での子育て経験や国内外の暮らしの中での学びやヒントについてコラムを執筆。