海外生活で学んだシンプルでサスティナブルなもの選び|9.kyuupartnerコラム

翻訳家 / Yamaguchi Hanae //

 

昨年10年ぶりに日本へと本帰国。長い海外暮らしは楽しく興味深いこともたくさんありましたが、一方で便利な日本に比べて不便なことの連続でした。 しかし、そんな生活環境のおかげで、本当に質の良いもの、人生において大切なものが見えやすくなったように思います。今回は友人であり、9.kyuu(キュウ)プロジェクトのプロデューサーである菅野さん*にご紹介いただいた上質でサスティナブルな石鹸についてご紹介します。

目次

  1. 長年暮らした海外を離れ、日本へ本帰国、そして友人たちとの再会
  2. ヨーロッパではサスティナブルでオーガニックのスキンケア商品が人気
  3. 9.kyuu(キュウ)の石鹸を使って自分オリジナルソープを作る
  4. 石鹸って実はとてもシンプルでサスティナブル。そして美しい
  5. シンプルでサスティナブルなものはだいたい飽きが来ない

長年暮らした海外を離れ、日本へ本帰国、そして友人たちとの再会

 

私は昨年末10年間に及ぶ長い海外生活に終止符を打ち、日本へと本帰国しました。ベルギーとドイツに暮らした前半はまるで旅するように楽しく暮らし、後半のアメリカ生活では現在4歳になる息子の育児に追われ、髪振り乱す日々。前半と後半ではだいぶ異なる海外暮らしでした。本帰国に際し、Facebookを通じて本帰国のご挨拶メッセージを投稿しました。この頃、すっかりFacebookを使うことは激減していましたが、一度に多くの友人に対して連絡を取ろうとすると、なんだかんだ便利です。

すると東京に暮らしていた頃の友人から連絡をもらったり、懐かしい友人とチャットしたりと、10年という日本での空白期間がまるで嘘のように自然とまた連絡を取り合うようになりました。

そんな中で10年前、東京の青山にあるPR会社に勤めていた頃に知り合った菅野さん*と連絡を取り合い、久々に再会。10年前と変わらず、美しく健康的な笑顔にホッとさせられました。彼女は以前と変わらず、様々な化粧品の開発やコンサルタントに従事し、現在は9.kyuu(キュウ)というイギリス生まれのオーガニック手作り石鹸プロジェクトの日本国内での本格展開に向けて、日々奔走しているとのことでした。



ヨーロッパではサスティナブルでオーガニックのスキンケア商品が人気

 

かつては高価格帯の化粧品やスパなどのPRに従事した私ですが、海外での暮らしや子育てを通じてすっかり化粧品に高いお金をかけるということは無くなりました。それは金額的な問題よりも周りの友人からの影響によるものが大きいかもしれません。

名だたる高級化粧品が生まれたヨーロッパでも、実際そこで生活する人々の毎日のスキンケアは至ってシンプルな印象でした。石鹸で顔を洗い、化粧水やクリームを塗る程度。しかも皆、サスティナブル(持続可能な)なブランドを選択しており、決して高額なものではありませんでした。意識の高い友人たちがスキンケア商品を選ぶ際に重要視していたのは、使い心地や香りよりもむしろ、内容成分、オーガニックかどうか、安心安全な製造方法かどうか、その辺りだったように感じました。

特にオーガニック製品の先進国、ドイツでは、最終的には跡形もなくなる石鹸がプラスチックボトルに入った液体石鹸に比べても人気があり、品揃えも充実していたように思います。ある日、ベルギー人にスキンケアについて話していたとき、「高い化粧品を使うよりも運動したり、睡眠をとったりする方がよっぽど肌にも体にも良いわ」と彼女は答えました。その言葉にハッとさせられた気持ちが今でも忘れられません。



9.kyuu(キュウ)の石鹸を使って自分オリジナルソープを作る

 

 

そんな記憶もまだ新しいことから、帰国後、菅野さん*に教えていただいた9.kyuu(キュウ)の石鹸に関心を持った私。早速、パーソナライズソープを使ってみました。湯煎やレンジで溶かして好きなエッセンシャルオイル(精油)を入れて固めても楽しめると聞き、4歳の息子に「手作り石鹸を作ろう!」と声をかけ、一緒に作ってみました。耐熱ボウルに入れてレンジで溶かしたパーソナライズソープにティートゥリーとユーカリのオイルを少し加えてぐるぐる混ぜます。全体的によく溶けたら、貝殻や花の形をしたシリコン型に注ぎ込み、あとは常温で冷えて固まるのを待つだけです。スーッとする爽やかな香りの石鹸が完成しました。

一般的なシャンプーや石鹸にはフローラルな香りが使用されていることが多いですが、私個人としては針葉樹などのグリーンでシャープな香りが好みなので、パーソナライズできる点はとてもありがたく感じます。ちなみに以前、石鹸作りを趣味にしていた方から伺った製法と比べると、とても簡単で安全なことにも驚きました。

そして早速、お風呂タイムに息子と使ってみたところ、とても泡立ちがきめ細かくてふんわり、且つ保湿力にも優れていました。軽度のアトピーがある息子も肌がつっぱることなく、毎日使うことができています。必要以上に強い香料の入った商品がとても苦手なので、好きな香りを好きな分だけ調整するのはありがたいですし、オーガニックの植物由来成分を使用していることも安心感が持てます。



石鹸って実はとてもシンプルでサスティナブル。そして美しい

 

 

今回、自分オリジナルソープを作ってみて改めて感じたのは、石鹸は意外に何にでも使えて地球にも優しいということ。全身洗いにも洗顔にも洗髪にも、またちょっとした洗濯にも使えて、最終的には形が消えてなくなるのです。用途ごとに合わせてアイテムを購入すると、それだけお金もかかるし、置くスペースも必要です。石鹸って改めてなんて便利で素晴らしいんだろうと感じました。ヨーロッパでのシンプルな生活をきっかけに、ものをできるだけ最小限にした暮らしが好きになったこともあり、石鹸の良さを再認識しました。

おしゃれなソープディッシュの上に置くだけで絵にもなりますし、見た目にも美しく楽しめます。



シンプルでサスティナブルなものはだいたい飽きが来ない

 

海外生活を始めた頃は、あれがない、これがない、毎日不満だらけで、日本に住む母からあれこれ食材や雑貨をリクエストしては定期的に送ってもらっていました。それこそ化粧品やヘアケア製品も一時帰国の時にまとめ買いをしてた時もありました。

しかしそのうち、必要なもので買えないものは自分で作ったり、現地で似たようなものを調達したり、なんとかできるまでに成長しました。

同時に日本に暮らしていたときには少し持ち物が多過ぎたということにも気がつきました。

便利グッズを買ったり、もしかしたら使うかも?と多めに購入したり、すでに持っているものと似たものを買ってしまったり、そんなことが多かったように思います。私が暮らしたベルギーやドイツにはその当時100円ショップはなく、衝動的に何かを購入するということも(旅行の時以外)ほとんどありませんでした。買い物は本当に必要に迫られて行くもの、そんな風に変化していきました。日曜日は商業施設が閉まっていることも多く、お店の営業時間も日本に比べてとても短いのです。

本帰国した今、そこら中に溢れるコンビニエンスストアや販売機、普通に美味しいお惣菜や冷凍食品、かつては喉が出るほど欲しかったはずなのに、慣れとはすごいもので昔ほどは利用しなくなりました。なんでも少し不便で足りないくらいがちょうど良いように思います。初めから、シンプルでサスティナブルなもの、また上質なモノをチョイスしていれば、だいたい飽きが来ません。



著者のプロフィール: 山口 華恵 Hanae Yamaguchi

東京女子大学 文理学部英米文学科卒業後、大手製薬会社、外資系PR会社および日系PR会社で広告・広報業務に携わった後、夫の仕事都合でベルギー・ドイツ・アメリカ(ニューヨーク州)で約10年間生活を送る。現在は夫と4歳の子供と茨城県つくば市に暮らし、フリーランス翻訳者およびPRコンサルタントとして活動。現在、ヨガジャーナルオンラインおよびmadameFIGARO.jp(フィガロジャポン)の翻訳を毎月レギュラーで担当している。本サイトでは、海外での子育て経験や国内外の暮らしの中での学びやヒントについてコラムを執筆。

*菅野 沙織 sugeno saori 9.kyuu プロデューサー・化粧品製造販売責任者 現在、大学・高校でビューティービジネスやSDGsについての授業を担当し教育をテーマに活動中。他、ラジオ出演・講演会なども行う。